民事再生法は悪法か?
今週、ある中小企業(A社)の社長さんにお会いしました。
この社長から、
「民事再生法なんて天下の悪法ですよ」
という言葉をお聞きしました。
この会社、数年前に得意先(B社)が民事再生を申し立てた影響で、
数億円の売掛債権が回収不能になってしまった経緯があります。
その結果、資金繰りが大幅に悪化し、銀行からの借入の返済が
困難になってしまいました。
顧問弁護士からは、A社も法的整理を申し立てることを勧められたそうですが、
A社社長は、
「借りたものは必ず返す」
という強い気持ちを持っており、リスケ(返済緩和)を受けてはいるものの、
月々しっかりと返済を続けています。
ただリスケをした影響で、その後金融機関からは新たな融資を受けることは
出来なくなっています。
厳しい資金繰りの中で、ギリギリでやり繰りしながら事業を続けている状態です。
一方、民事再生を申し立てたB社は、債務の95%をカットされたこともあり、
今では、債務の少ない優良企業に生まれ変わってるそうです。
当時の社長は「経営責任」をとる形で退任していますが、
後任にはその社長の息子が就任しています。
結局は経営体制は変わってないんですね。
言い方は悪いですが、A社とB社を比べると、明らかに
借金を踏み倒したもん勝ち
のような状況になってます。
一連の経緯を話し終えた後、A社の社長は、
「民事再生法なんて、天下の大悪法ですよ」
と吐き捨てるようにおっしゃいました。
債務カットのありかた、経営責任の問い方、借り手貸し手のモラルなど
色々と考えなくてはならないことがありそうですね。